歌う少女、笑う少年。
バラード
「だらーんだらだらー」
うわ、またうたってるーきもーめいわくー。
「鈴木くん」
「うん?」
「成宮さんまーた歌ってるーねえもーさー、鈴木くん」
にこっと天使の笑顔で、後ろの女子が、僕の肩を掴んで、軽く揺らした。
「成宮さんに直接迷惑だって言ってよ」
迷惑?
だとは、思わないんだけどな。
バラードっぽい歌を歌いながら、ふるふると横にリズムをとってる成宮さんが、ちらりとこっちを見た。
苦虫を噛み潰したような顔で。