君の隣で笑ってたいんだ

「すうううう、はああああ」



大きく深呼吸をして、前を向く。



落ち着け、落ち着け。テンパるな。ひとまず落ち着け。



ここは3組の教室の前。


目的は、黒沢くんにお礼を言うため。



──よしっ!



「し、失礼します。

黒沢くんいますか?」



「ここだけど」


近っ!


ドア目の前。


もうちょっと奥の方を想像してたよ。



「ちょ、ちょっと来て!」


思ったよりも近くにいたことに動揺して慌てて手招きして、教室を出る。


「なに?」



黒沢くんはよくわからないといった様子でついてくる。



悪いようにはしないさ。






人があんまりいないところに着いて、黒沢くんの方を振り返る。

心の中でもう1度大きく深呼吸をして...



「ノート、ありがとうございましたッッ」



あ、勢いよすぎた。


思った時にはもう遅く...



「ぶっっ」



「ちょ、何よ!」


吹き出した黒沢くんに思わず噛み付く


「いや、ノートのお礼にしては随分勢いが強いなって、ぶふっ」



わ、笑うなし!!



「すまんすまん

ちょっと可笑しくてさ。」


くっそう、舐めやがって...


どうせ黒沢くんは、私の事をバカにしたいんだろ!

や、今現時点でバカにされてるけどさ!



「怒るなって。

そういえばそのノートだけどさ、随分よく見てんだな。

俺、ずっとお前のことただのおっかけだと思ってた」


「ただのおっかけとか失礼じゃない!

私は普通にただ応援したいから練習見てたし、」


「告白してたのか。」


「そうだよッ!」


言おうとしてたことを先に言われてちょっとムッとする。


「お前の場合は告白しすぎて本気に見えないからさ」


「いつも本気だよ!!!」


「伝わったよ」


「え?」


「本気なこと。

ずっとふざけてるとしか思ってなかったけどさ、あのノートみたら、思わずただ本気だったんだなって思ったよ。」


う、わぁ...。


はじめてそんなこと言われた。



嬉しいなぁ

< 5 / 8 >

この作品をシェア

pagetop