君の隣で笑ってたいんだ
「すうううう、はああああ」
大きく深呼吸をして、前を向く。
落ち着け、落ち着け。テンパるな。ひとまず落ち着け。
ここは3組の教室の前。
目的は、黒沢くんにお礼を言うため。
──よしっ!
「し、失礼します。
黒沢くんいますか?」
「ここだけど」
近っ!
ドア目の前。
もうちょっと奥の方を想像してたよ。
「ちょ、ちょっと来て!」
思ったよりも近くにいたことに動揺して慌てて手招きして、教室を出る。
「なに?」
黒沢くんはよくわからないといった様子でついてくる。
悪いようにはしないさ。
人があんまりいないところに着いて、黒沢くんの方を振り返る。
心の中でもう1度大きく深呼吸をして...
「ノート、ありがとうございましたッッ」
あ、勢いよすぎた。
思った時にはもう遅く...
「ぶっっ」
「ちょ、何よ!」
吹き出した黒沢くんに思わず噛み付く
「いや、ノートのお礼にしては随分勢いが強いなって、ぶふっ」
わ、笑うなし!!
「すまんすまん
ちょっと可笑しくてさ。」
くっそう、舐めやがって...
どうせ黒沢くんは、私の事をバカにしたいんだろ!
や、今現時点でバカにされてるけどさ!
「怒るなって。
そういえばそのノートだけどさ、随分よく見てんだな。
俺、ずっとお前のことただのおっかけだと思ってた」
「ただのおっかけとか失礼じゃない!
私は普通にただ応援したいから練習見てたし、」
「告白してたのか。」
「そうだよッ!」
言おうとしてたことを先に言われてちょっとムッとする。
「お前の場合は告白しすぎて本気に見えないからさ」
「いつも本気だよ!!!」
「伝わったよ」
「え?」
「本気なこと。
ずっとふざけてるとしか思ってなかったけどさ、あのノートみたら、思わずただ本気だったんだなって思ったよ。」
う、わぁ...。
はじめてそんなこと言われた。
嬉しいなぁ