夢から醒めた夢



「愛梨って、自己評価低いよな」

「え?」

「自分を否定するな。
遊び歩いていた俺が、落ち着きたいと思えた相手だから」

「えっ……?」



真剣な目でそう言われて、私の思考回路は停止してしまった。

この人は、何を言っているのだろう。



「最初見た時にヤバイと思ったよ。言い方悪いけど、自分から反応したのは初めてだった。見た目は申し分ないし、人を見た目で判断している訳でもない。他の子たちとは違った」



他の子たちと違うのは自覚していた。

イケメンだからといって騒がないし、特別扱いもしない。

だけど、この人は見方が違う。

見た目は申し分ないとか、そんな訳ない。

首を振っているのを見て何を考えているのか分かったのか、呆れたように言う。



「だから、自己評価低いって」

「意味が分かりません」

「美人でスタイルいいって自覚ない?」

「はぁー?そんな訳ないです。可愛い子なら他にもいました」




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