夢から醒めた夢



本当に、この人は何を言っているんだ。

目、おかしいんじゃないだろうか。



「イヤ、愛梨が1番だったけど」



真顔でそんなこと言われて困った。



「俺だけじゃなくて、他のヤツらも言っていた。
大貴だって、愛梨を狙っていたじゃないか」



え、そうなの?

今まで告白とかされたことないんだけど。

まぁ、大貴はそんな気もしたけど、自惚れな気もした。



「まぁ、人のことなんてどうでもいいんだって。
悪かった。何も言わず、ヤるだけの状態だったこと」

「イヤ……あなたにとって、それが普通なんでしょうし」

「普通だったんだけど、今回は違った。でも、正直言わなくても分かるだろうと思ったし、そもそも言うこと自体頭になかった。
俺は、順番を間違えた。ちゃんと、ここから始めないといけなかった」



隣に座って、2人共前を見ていたのに、彼は体ごと私の方を向いた。

それにつられて、私も体の向きを変える。




< 101 / 140 >

この作品をシェア

pagetop