夢から醒めた夢
本当に、この人は何を言っているんだ。
目、おかしいんじゃないだろうか。
「イヤ、愛梨が1番だったけど」
真顔でそんなこと言われて困った。
「俺だけじゃなくて、他のヤツらも言っていた。
大貴だって、愛梨を狙っていたじゃないか」
え、そうなの?
今まで告白とかされたことないんだけど。
まぁ、大貴はそんな気もしたけど、自惚れな気もした。
「まぁ、人のことなんてどうでもいいんだって。
悪かった。何も言わず、ヤるだけの状態だったこと」
「イヤ……あなたにとって、それが普通なんでしょうし」
「普通だったんだけど、今回は違った。でも、正直言わなくても分かるだろうと思ったし、そもそも言うこと自体頭になかった。
俺は、順番を間違えた。ちゃんと、ここから始めないといけなかった」
隣に座って、2人共前を見ていたのに、彼は体ごと私の方を向いた。
それにつられて、私も体の向きを変える。