夢から醒めた夢



彼の目は、真剣そのものだ。



「周りから俺のことを聞いて、信用はないかもしれない。でも、本気で愛梨が好きなんだ。世界中の誰よりも。
この気持ちは、絶対変わらないと自信を持って言える。だから瀬本愛梨さん、俺と結婚してくれませんか?」



真剣な目でそんなこと言われたら、目がそらせない。

まさか、そんなことを言われるとは思っていなかった。

完全に片想いだと思っていた。

嬉しいに違いはない。

それでも、簡単に頷けない。



「って、ちょっと待って。結婚……?」



よくよく思い返せば、普通の告白じゃなかった。

それを飛び越えて、プロポーズされている。何で?



「言っただろ。この気持ちは絶対変わらないって。しかも、こんな場所に呼んでいるのに、付き合うだけとかありえない」



確かに、ここは教会。

プロポーズするにはうってつけの場所だろう。

でも、変わらない想いなんてあるの?




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