夢から醒めた夢



嘘を言っている感じではないし、毎回同じような電話ではあった。

なら全て、私の勘違いか。



「ごめんなさい」

「何で謝る?」



不思議そうに言われるけど、私の勘違いなんだから謝るよ。



「俺が何も言ってなかったんだから、勘違いもするでしょ。愛梨が謝る必要はない。俺が謝らないと。
何も言わずでごめん。愛梨のこと考えずに、手出すばっかでごめん」

「あっ……え、そんなに謝らなくても。私も何も聞かなかったし、言わなかったので……」



そんなに謝られると、どうしていいか分からなくなる。



「こうやって姉貴に言われないと気づかない。でも、これからは何でも言葉にする。愛梨を傷つけないと誓う。だから、結婚しよう?」



たぶん、嘘はついていない。

ほぼ毎週逢っていた上に、土曜がダメな時でも日曜に逢っていた。

どこに他の女と逢っている暇があったのか。

平日は分からないけど……。




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