夢から醒めた夢



「もう1度、好きって言って」



ねだるように可愛く言われる。

あらためて言われると恥ずかしいんだけど……。



「……好きだよ」

「名前を呼んで、もう1度」

「え?」



名前って、どうして?

でも、考えてみれば1度も呼んだことがない。

彼は、何度も呼んでくれているのに。



「……慎吾くんのことが好きだよ……わぁっ」



言った瞬間、抱きしめられた。

しかも、結構強く。

でも、なんだか安心出来た。

久しぶりだったけど、落ち着ける空間だった。



「愛梨、一緒に住もう」

「え?」

「だって、毎日逢える訳じゃない。そんなんですれ違いたくはない。っていうか、俺が毎日逢いたいだけなんだけど」




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