夢から醒めた夢



「もう諦めて。俺からは逃げられないから」



私は、とんでもない人に捕まったのではないだろうか。



「そんな脅すようなこと言わないの」



急に、別の女性の声がした。

立ち上がって後ろを見ると、年上だろうか。

1人の女性が腕を組んで立っていた。



「…………もぉー、可愛いっ」

「えっ?」



誰か分からないままに、勢いよく抱きつかれた。

え、どうしたらいいの?



「おい、離れろって。愛梨が戸惑ってるから」



慎吾くんが私と女性を引き離すと、今度は自分が私を抱きしめる。

ちょっと、人前だからそれもどうかと思うけど。



「いいじゃない。1人占めなんてズルいわよ」

「愛梨は俺のだ。1人占めするなんて当たり前のこと」

「そんなに縛っていると、嫌われるわよー」

「そんなことないから」




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