夢から醒めた夢
「私は、今までのことを詳しくは知りません。だから、今が好きならそれでいいです。不安はありますけど」
そう言うと、少し驚いた表情をされた。
「やっぱり、慎吾にはもったいない」
そんなこと言われましても、今の私は慎吾くん以外を好きになるとは思えない。
長年、好きな人さえ出来なかったんだから。
それにしても、イケメンのお姉さんはやっぱり美人なんだ。
姉弟そろって羨ましいな。
「でも、愛梨ちゃんみたいな子が妹になるのは嬉しいから。両親も大喜びよ。慎吾が真面目になったって」
笑いながら言われるけど、話しがいっているのは私の方だけじゃない。
慎吾くん側までいってるんだ。
なんか、外堀が埋められている気がするんだけど……。
「悪い。なんか、逃げられないようにしているよな。とりあえず許可もらおうと思っていたら、こんなことになって」
「まぁ、少し驚いたけど、いずれ話すことを考えたらいいんじゃない?」
「じゃあ、結婚してくれるんだ」
「え?あ……イヤ……」