夢から醒めた夢
「まぁ、ゆっくりしよ。とりあえず、一緒に住もう。そこは譲れないから」
にっこり笑って言うけど、その表情からも拒否は許さないと言っている。
もう、どうやっても逃げられない。
私だって、覚悟を決めて付き合うことにした。
完全に信じることは難しいけど、それでも傍にいると決めたんだから。
信じる努力はする。
そもそも、人から聞いた話しばかりだから。
目の前にいる人を見て、感じて、信じよう。
「一緒に住むよ。それで、慎吾くんを信じていくから。周りの話しじゃなくて、慎吾くんを見るから」
「……やっぱり、愛梨は凄いな」
やっぱりの意味が分からないけど。
それでも嬉しそうに笑うから。
これで良かったんだと思う。
もちろん、これから何が起きるかは分からない。
もしかしたら、女性関係で問題が起きるかもしれない。
だけど、選んだのは私だから。
好きになったのは私だから。
逃げずに戦おう。それしかないから。
「好きだよ」
「え?」
「慎吾くんのことが好きだよ」
珍しく顔が真っ赤になる慎吾くんを見て、満足したのだった。