夢から醒めた夢



「慎吾、ちょっとは遠慮しなよ。親の前だよ?」



お姉さんがそう言うけど、ベタベタするのは変わらない。

それが当たり前のように、普通にしている。



「だから、無理。触れていたいんだって」

「……アンタ、変わったね。以前はそんなこと言わなかったのに」



お姉さんが言うことは、慎吾くんの友達にも言われた。

同棲を始めたあと、合コンの時の男メンバーに逢った。

この人たちが1番仲が良いのだと言った。

だから、ちゃんと紹介したいのだと。



「慎吾が変わったのは、一目見て分かるよ」



開口一番に、そんなことを言われた。

この時、菜緒も一緒に逢ったため、2人で顔を見合わせた。



「まぁ、合コンの時から慎吾の行動は異常だったけどね」

「異常?」

「だって、最初から最後までずっと隣にいるし。俺らが話しかけないようにしていた。それに、お持ち帰りまでしているし」




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