夢から醒めた夢



「菜緒ちゃんから聞いていると思うけど、あの日はそんな予定ではなかったから」

「その後、土日に俺らと逢わなくなったし、ほぼ連絡も取れなくなった。今までそんなことなかったから、本当に大事にしているんだって」

「婚約したって聞いたあと、久しぶりに慎吾に逢ったんだけど、今までとは全然違った。愛梨ちゃんのことを話す表情が、もう緩みっぱなしで」

「それに、堂々とデートしている時点で本気なんだなって。今までは、本当にヤるだけだったからね」



次々と色んなことを言われて、私が恥ずかしくなってくる。

友達とお姉さんが同じようなことを言う。

彼が変わったのは事実なんだ。



「愛梨ちゃん……愛されているね」



菜緒がしみじみと言う。



「……恥ずかしいからやめて」



たぶん私は、誰が見ても分かるぐらい顔が赤くなっていると思う。

実際、こんなに愛されているっていう自信はなかった。

こんなにきちんと周りに紹介されるとも思っていなかった。




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