夢から醒めた夢
ヤバイと思った時、すでに遅く。
やっと立てたと思っても、誰かに捕まっていないと倒れてしまう。
周りに迷惑をかけているのは分かっているのだけど、しっかりは出来ない。
「愛梨ちゃんも、そんなんになっちゃうんだねー」
ハイテンションで友美も言うけど、この子も呂律が回っていない。
「友ちゃんも飲みすぎだよ」
「大丈夫、大丈夫。菜緒は、心配しすぎー」
周りも気にせず、声が大きい。
先に店から出たから、通る人に注目を浴びている。
酔っぱらいなんて、そんなもんだけど。
「友ちゃんはなんとかなるとして、愛梨ちゃん、帰れる?」
「んー……」
はっきり言って、帰れる自信はない。
今だって、誰かに捕まってやっと立っている状態なのに。
それに、眠い。
タクシーに乗ったら、すぐに寝てしまいそうだ。
だからと言って、誰かに迷惑をかける訳にはいかないのだけど。