夢から醒めた夢
「連れて帰るよ」
誰かが引っ張ったと同時に、そんな声がした。
「え?でも……」
「連れて帰る」
菜緒が心配そうに見ているけど、私はもう何も考えられない。
菜緒が何か言おうとしたけど、近くに停まったタクシーに押し込まれた。
そして、誰かが一緒に乗った。
男だったような気もするけど、もう動けない。
私の意識は、ここで途切れた。
2人がタクシーで去ったあと、残りの男たちが出てきた。
代表で会計をしてくれていたため、女側は先に出て待っていた。
「あれ?慎吾は?」
1人がいなくなっていることに気づき、女の子たちに聞く。
「えっと……愛梨ちゃんを連れて帰ったんだけど……」
「えっ⁉」
菜緒が答えると、男側が一斉に驚く。
「大丈夫か?」
「イヤ、でも、結構最初からそうだったじゃん」