夢から醒めた夢
とにかく、服を着て急いで家を出た。
誰が相手とか、確認する余裕なんてない。
ここがどこかも分からないけど、なんとかタクシーを拾った。
行き先を告げ、ようやく一息つく。
スマホを見ると、ラインと電話が入っている。
どちらも菜緒だった。
しかも、1回ずつじゃない。
何回もきていた。
これは、状況的にマズイな。
なんとか家に帰った私は、すぐに菜緒に電話をする。
土曜の朝7時だ。
休みのこんな時間に迷惑かもしれないけど、すぐに確認したかった。
『愛梨ちゃん⁉大丈夫⁉』
2コールぐらいで出た菜緒は、大きな声でやっぱり焦っている。
「やっぱり、私は心配されるような状態だったの?」
『ごめんー』
別に、菜緒に怒っているつもりはないんだけど、泣きそうな声になっている。
「ごめん、怒っている訳じゃないから」
『でも……何かあったんだよね?』