夢から醒めた夢
私の経験は1度しかない。
それも、痛くて泣きわめいた記憶しかない。
相手が下手だったのか分からないけど、それ以来ヤるという考えはなくなった。
彼氏を作ることもやめた。
彼氏を作れば、必ず求められたから。
それなら、いらないと。
なのに、何で……。
あれは、関わってはいけない人種だ。
私とは違う。
おそらく経験豊富で、女なら誰でもいい。
そんな感じだ。
そんな人の相手にはなりたくない。
とにかく、菜緒に知っていることを話してもらおう。
電話を切って1時間後、いつも行くカフェで菜緒と逢った。
逢ったとたん、菜緒は泣きそうだ。
「菜緒……私が悪いから。男がいる中で酔っぱらったんだから、自業自得。菜緒が背負い込むことないから。
とりあえず、私は誰と帰ったの?」
「えっ?そこ?だって、見たんじゃないの?覚えて、ないの?」
「帰るまでの記憶がない。今朝も、自分の状況把握に必死で、相手を見る余裕なんてなかった」