夢から醒めた夢
「でも、居場所が分からないって、家知らないの?」
「え?家は知っているんじゃないかな?」
「じゃー、居場所分かっているでしょ」
「え?」
「え?って、家だったら分かるんでしょ?」
「家、だったの?」
「家じゃなかったら、どこへ行くのよっ」
菜緒が、何でそこに疑問を持つのか分からない。
普通は家だって思うでしょ。
「本当に家⁉」
「は?その人の家かは知らないけど、普通のマンション。生活感はあったから、誰かは住んでいるよ」
そう答えれば、なぜか首をかしげられる。
かしげたいのは私の方だ。
「一体、何?家じゃダメなの?」
「イヤ、他の子たちが言っていたの。慎吾くんは、ヤるだけの相手を家にはあげないって。どこかのホテルだって。だから、居場所は分からないって……」
「じゃあ、あれは彼の部屋じゃなくて、ヤり部屋ってこと?女がいくらでも出てきそうだな」