夢から醒めた夢
「そうなの?」
「みんな酔ってて、記憶が曖昧みたい。あたしが男の子と話していたことも覚えてないみたいだから」
それは、ひと安心なのかもしれない。
知られていたら、また憎まれたりするかもしれない。
まぁ、女メンバーももう逢わないと思うけど。
「でも愛梨ちゃん、沈んでいるかと思ったけど、そうでもないね」
「んー、やってしまったものは仕方ないし。どうやっても、なかったことには出来ない。まぁ、イケメンだったからラッキーぐらいに思わないと。2度と逢わないし」
「えー、そうかなぁ。そう思うしかないかなぁ」
ちょっと不満そうな菜緒だけど、そう思うしかないんだ。
それで私は、菜緒に話して終わりにするつもりだった。
連絡先は知らないから、この先はない。
そもそも、そんなこと望んでいないから。
普通に付き合える人じゃない限り、2度と逢うことはない。