夢から醒めた夢
「大貴に気に入られたみたいね」
ニヤニヤしていたのは、そのせいか。
しかも、母親にそんなことを言われるとは。
「別に普通でしょ」
「何言ってんのー。隣に座って、グイグイ来ていたじゃん」
やけに楽しそうに言う。
娘の恋愛話しは楽しいのだろうか。
おそらく、最近そんな話しがないからだろうな。
「大貴はいい子だよ。イケメンってほどじゃないけど、素直だし仕事出来るし」
母親に進められるのもどうだろうか。
見合いみたいじゃないか。
「でも、慎吾はダメよ」
「は?何で?バカだから?」
「バカなのは別にいいわよ。
アイツの趣味は、セックスだから」
「……は?」
「女の子とセックスすることが唯一の楽しみだって豪語しているわ。隠すことなく言っているから、みんな知っている」
そんな人、本当にいるんだ。