夢から醒めた夢



それで電話を切ると、菜緒が驚いた表情をしていた。



「普通に逢う約束しているじゃないーっ」

「イヤ、あ、うん。ごめん」

「最後に泣くのは愛梨ちゃんなのにー」



それは分かっている。

分かっているつもりなんだ。

だけど、逢わないと言えない。


たまに分からなくなる。

彼は、本当に女の子を食い物にしているのだろうかと。

1度逢ったあとから、毎週のように連絡してくる。

私がダメだと言った今日みたいな時、他の子を相手にするのだろうか。

彼も、私と同じで土日休み。

毎週のように連絡してきたら、他の子とは逢えないはず。

もちろん、平日の仕事終わりは知らないけど。


こんな状況だから、聞いていた彼の姿とは差があるんだ。

だから、ついつい行ってしまうのだろうか。

ましてや、逢ってヤるだけじゃない。

普通に街中を歩いて、ご飯も食べる。

ヤるだけの相手に、そこまでするのだろうか。




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