夢から醒めた夢



「愛梨って、一人暮らしだよな?」

「そんなこと言っていないはずだけど、お母さん情報?」

「もちろん。じゃあ、料理出来るよな?」

「まぁ、ある程度は」

「じゃあ、今度愛梨の手料理が食べたい」

「え?外食の方が良くない?」

「だって、俺も一人暮らし。日頃から外食だから、たまには手料理が食べたい」



珍しく甘えたように言われる。

そんな風に言われたら、頷いてしまいそうになるよ。



「一人暮らしだったんだね」



初めて知ったことだからそう言うと、首を傾げられる。



「他に誰かと住んでいるように見える?」



そう言いながら、両手を広げる。

イヤ、見えませんが……って、ここ、自分の家なのか。

ヤり部屋じゃなくて、ここに住んでいたんだ。

言われて初めて気がついて、驚いてしまった。

確かに、クローゼットもあるし、服とか普通にある。

家電製品だって置いてあるけど、そう見せているだけかと思った。




< 69 / 140 >

この作品をシェア

pagetop