夢から醒めた夢
「愛梨って、一人暮らしだよな?」
「そんなこと言っていないはずだけど、お母さん情報?」
「もちろん。じゃあ、料理出来るよな?」
「まぁ、ある程度は」
「じゃあ、今度愛梨の手料理が食べたい」
「え?外食の方が良くない?」
「だって、俺も一人暮らし。日頃から外食だから、たまには手料理が食べたい」
珍しく甘えたように言われる。
そんな風に言われたら、頷いてしまいそうになるよ。
「一人暮らしだったんだね」
初めて知ったことだからそう言うと、首を傾げられる。
「他に誰かと住んでいるように見える?」
そう言いながら、両手を広げる。
イヤ、見えませんが……って、ここ、自分の家なのか。
ヤり部屋じゃなくて、ここに住んでいたんだ。
言われて初めて気がついて、驚いてしまった。
確かに、クローゼットもあるし、服とか普通にある。
家電製品だって置いてあるけど、そう見せているだけかと思った。