夢から醒めた夢
「何も考えずに、今はひたすら溺れて」
彼の手にかかれば、誰でも言うことを聞いてしまう。
それだけ、器用にやるんだ。
上手いと思ったテクも、今まで何人にやってきたのか気になってしまう。
考えれば考えるほど嫌になってくるけど、溺れていってしまう。
どこかで歯止めをかけないと、離れられなくなってしまう。
そう分かっているんだけど、止められない。
こんなに誰かにすがってなきゃダメだったっけ?
手放したくない人なんて、今までにいた?
菜緒にどうしてもと頼まれて、何度か合コンに出たこともあった。
でも、誰とも馴れ合わず、ひたすら食べて飲んでいた。
そんな私を、男たちは引いていた。
だから、どれだけ飲んだくれても、持ち帰りされるようなことはなかった。
自分がそうなるように仕向けたから。
誰よりも酒飲みで強いのを見せた。
今回もそうだったはずなのに。
男だって、自分より飲む人を選びにくいと思う。