夢から醒めた夢
そんな会話が少し離れたところから聞こえる。
付き合うを飛び越えて夫婦とか。
ありえないでしょ。
でも、そう見えるんだ。
少し嬉しかったりして。
だけど、すぐに現実に戻されるんだけどね。
彼は我関せずで、食料を物色しているから。
こんなちょっとした幸せな時間でも、邪魔は入る。
「なに?」
私が隣にいようと関係なく、電話に出る。
聞こえる声は、相変わらず女だ。
「分かってるって。ああ……言われなくても」
何を話しているのか分からないけど、少し不機嫌そうだ。
そんなに嫌な電話なのだろうか。
「しつこいなっ。ちゃんとしているよっ」
結局、最後は少し怒るようにして切った。
彼を覗き込むと、何でもないと首を振る。
気にはなったけど、聞いてはいけない気がした。