夢から醒めた夢
「えー、本当に?おめでとうっ。どんな人?」
「えっとねぇー……」
そこからは、菜緒の話しで盛り上がった。
友達に彼氏が出来るのは嬉しいし、羨ましくもある。
だからと言って、焦って彼氏を作ろうとは思わないのだけど。
そんな時、急にスマホが鳴って驚いた。
電話が鳴ると、否応なしにドキッとしてしまう。
もう、彼が連絡してくることはないのに。
案の定、電話の相手は彼ではない。
母親だった。
「どうしたの?」
不思議に思いながらも、電話に出る。
だって、母親からの電話も珍しいから。
用があっても、メールですませる人だから。
それに、連絡自体、私からすることの方が多い。
『愛梨、来週の土曜日あいてる?』
「来週?大丈夫だけど」
『ちょっと、行きたいところがあるんだけど』