呪い
3
「えーっ、何これ?」
沙樹は目を大きく開いて、手にしたものを見つめた。
学校が終わって、帰宅していた。九ケ沼康子にあんなことを言ったが、やっぱり気になった。家の周りや、家の中、自分の部屋に何か変なものがないか、探してみることにした。
ざっとでもいいから探してみる。それで何も見つからなければ、
(ほら、やっぱりね)
と、安心できる。
そう思っていたのだが、探した結果、「変なもの」は見つかったのだった。
沙樹のベッドの下だ。壁にくっついているベッドの奥のほうに、放りこまれたように転がっていた。
人形だ。
といっても、上等の、売り物の人形なんかじゃない。
ボロきれをボロきれでくるんで、乱暴に縫い合わせただけのもの。漢字の「大」の字の形をしたものだ。
大きさは、沙樹が手のひらを広げたよりもひと回り大きい。
そして、奇妙なことに、「大」の字のてっぺんのとんがった部分、人間で言えば頭の部分が切りとられている。
決して作り忘れたのではない。
頭部を作った上で、ハサミのような刃物を使って切りとったのだ。
胴体に当たる部分の切断面に、詰め込んだボロきれが見えている。
切りとった頭部もベッドの下に転がっているのを見つけていた。
「何よ、これ? なんの嫌がらせ?」