呪い
そんな叫びも、やはり声にならない。
もがこうとするが、男たちに数人がかりで押さえつけられていて、ピクリとも動けない。
やがて、首の後ろが縫い終わると、体をひっくり返され、前のほうも縫われる。それでも沙樹は死ぬほどの痛みを受けとめ続けるしかないのだった。
ようやく首がつながると、ふたたび体をうつ伏せにされた。
かたわらに男が立って、大きなまさかりをふりあげた。一度縫い付けた首を、また切ろうとしているのだ。
首を切られることに恐怖心はあった。
だが、それが逃れられないものならば、早く殺して、楽にしてほしかった。沙樹の苦しみはそれほどまでに切実なものだった。
かたわらの男がまさかりをふりおろした。
ぎゃっ。
沙樹の首はおもちゃのようにあっさりと切られた。
沙樹は死んだ。
これで終わりだ。
と、思った。
ところが……。
おそろしいことに、今度は夢からさめないのだった。
(どうして?)
絶望にとらわれながら、沙樹は心の中で叫んだ。
(どうして夢からさめないの?)
ひとつ考えられるのは、沙樹が呪いの人形の処理を間違えた、ということだ。
人形の首を縫って、コンビニに捨ててきた。あれが間違っていたのだ。
(でも……じゃあ、どうすればよかったの?)