呪い

「ちょっとォ、沙樹、大丈夫? 顔色、悪いよォ?」

親友の小林真由が丸い顔を近づけてきて、クリクリッと愛嬌のある目で沙樹の顔をのぞきこむ。

ここは沙樹が通う高校の教室だ。

沙樹は高校二年生。平凡な、特に進学校でもない、普通の高校に通っている。

朝、我ながらひどい顔をしている、と思いつつ学校へ来てみたら、案の定、真由に見つかったというわけだ。

真由はかたわらに立つ、すらりとした体つきの少女に同意を求めた。

「ねえ、祥子?」

少女――阿川祥子はすぐに同意した。

「うん、病気っぽい顔だよ。保健室へ行く?」

祥子はきれいな顔を曇らせている。曇らせた顔まで、お嬢さま風の美少女なのがくやしい。

正直なところ、沙樹はこの祥子が少し苦手だったりする。

だが、真由がつなぎ役になって、いつも三人で行動しているのだった。

「大丈夫よ」

と、沙樹はきっぱりと言った。

「ちょっとまた変な夢を見て、寝不足なだけだから」

「エー、またあの夢?」

「うん」

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