呪い
三日前に初めて首を切られる夢を見た。その日のうちに、このふたりには話してある。そのときは、ほんの笑い話にすぎなかった。
――やだあ、ホントに死ぬかと思ったんだよ?
そう言って、三人で笑ったものだ。
だが、悪夢も三日続くと異常だ。異常だが、相手が夢ではどうすることもできない。
「んー、いっぺん、お医者さんに診てもらったらどうかなァ?」
と、真由がちょっと的外れのアドバイスをくれた。
「お医者さんに夢の相談?」
「おかしい?」
「うーん……」
せっかく心配してくれているので、冷たくあしらうのもどうかと思った。
「大丈夫よ。きっと疲れているだけだから。このところゴタゴタしたしね」
と、できるだけ明るく答えた。
ゴタゴタしていたのは確かだ。
半年つきあったカレシと、二週間ほど前にケンカして別れた。直後に生理が来なくて、
(もしかして、できちゃった?)
と、焦った。少し遅れて生理が来て、安心したが。
そんなゴタゴタの上に、進路をどうするか決めるようにと、先生や親からせかされている。
まわりの状況に頭の中をひっかきまわされている感じで、落ちつかないのだった。
「あ、もしかすると……」
と、祥子が何かを思いついた様子だった。
「こういうことは、あの人に相談するといいかも」
言葉の最後は自然に低い声になっていた。
それにつれて、祥子がゆっくりと後ろをふり返る。つられて、沙樹も真由もそちらを見やった。