君の本当をこの瞳で見つめて。
「あれ?」
シャッター街の路地裏へと続く道が、淡い優しい橙色の明かりで、道をそっと照らしていた。
黒猫がそんな路地裏で、くつろぎながらミャアと可愛らしく鳴いた。
こんな所あったかな……
町の隅々まで探検しつくした私の記憶の中に、こんな洒落たような場所があった記憶はない。
もしかしたら、子供は近寄ってはダメという周りの大人の圧があって、そもそもこの場所を知らなかったのかもしれない。
吸い込まれるようなそんな気分に、勝手に足がその路地裏へと向かって歩いていた。
レンガの道に続くように、道端に生え広がる蔦花が色を添えていた。
少しだけしっとりとした空気が頬を撫で、私を歓迎するかのように出迎えた。
――なんか素敵な所。
これなら若い子達も喜ぶだろうし、落ち着いたこの感じなら、大人達も足を運びたくなる気がする。
ぽつぽつと開きっぱなしになっているお店の中から聞こえてくるBGMと、キャリーバッグの音が小さくこだまする。
古本屋さんに、骨董店、天然石が並べてあるお店まで。
日常的な空気とは違う何かが流れているこの空間に、胸が大きく跳ねてるような、子供の頃の好奇心に似てる心が私を包んだ。