君の本当をこの瞳で見つめて。


……なんて言葉は裕治くんにはただの迷惑。

この想いにまた蓋をして、心の奥底にしまい込む。

中学生の頃の思い出なんかに浸ってる私、相当重たい奴なのかもしれない。

そう思うと、段々笑えてくる。

心配してくれている裕治くんの優しさに、甘えてはいけないと小さく笑う。


「仕事が上手くいかなくて。疲れたから有給使ってこっちに帰ってきたの。もう、上司が面倒な人ばっかりでさー」

「……そっか」


心配そうに見つめてくる裕治くんの視線から逃げるように、飲み物を飲む。

ほら、気まづくなっちゃったじゃない。

馬鹿みたい……昔の恋なんかに溺れて現実から目を背けようとするからこんな、こんなことになるっていうのに。

切り替えなきゃいけない、そうとは分かっていても、深い深い傷をこれ以上抉りたくない。

でも、変わらなきゃ。

これをきっかけにして、前に踏み出せばいいのよ。



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