君の本当をこの瞳で見つめて。
甘酸っぱいフルーツタルト
軽やかな足取りで路地裏へと入り、“prunelle”と書かれたドアプレートを見て満面の笑みを向けた。
何の迷いもなく扉を開けると、ふわっと香るコーヒーの香り。
ベルが鳴り響く中、それに負けじと壱目さんに向かってこんにちは、と挨拶を投げた。
カウンターの奥でカップを磨いていた壱目さんは、私の方へと顔を向けると柔らかい声で私を包んだ。
「いらっしゃいませ。今日は随分とご気分がよろしいのですね」
昨日と同じ席に座り、頬杖をしながらニッと笑ってみせた。
なんだかここに来ると本当の自分をさらけ出していいと言うか、なんか不思議と安心感がある。
まだ昨日出会った人なのに、ここまで素を出していいものなのか。
でも、この人なら引かないってそう思えるからここでは本当の自分をさらけ出す。
「あのね、壱目さん!いい事あったんですよ!!」
「いい事?それは一体どんなことですか?」
そう聞きながら壱目さんの口角が上に上がる。
カチャリと静かに先に飲み物を出された。
昨日みたいにあの感動するコーヒーだと思って、注がれたカップを見て目を輝かせた。