君の本当をこの瞳で見つめて。
タルトをぱくりと一口食べて、思わず頬を抑える。
ほっぺたが落ちるんじゃないかってぐらい、美味しい。
それぞれのフルーツが酸味や甘みを出して、それが口の中で上手く混ざって、でもそれぞれのフルーツの味は負けることなくきちんと主張もしてくる。
タルト生地も外はさっくりしていて、でも噛む事にしっとりと滑らかに口の中を滑っていく。
一つのものなのに、二つのものを贅沢に味わっているような感覚に、思わずうっとりとしてしまう。
ああ……幸せって正しくこれのこと。
「今日も美味しそうに食べてくれますね、貴方は」
「壱目さんこれ本当に美味しい!!なんかもう、美味しい!」
もう一口食べてはまた頬を抑えて、笑みをこぼす。
そしてじーっと私に視線を送る猫に、目を向ける。
飲むの……勿体ない。
でも、壱目さんの作ったものだから絶対絶品。
飲まないのも……勿体ない。
フォークを口にしたまま考えていると、壱目さんが咳払いを一つした。