君の本当をこの瞳で見つめて。


そんな人を癒す力のようなものを作り出す壱目さんは、まるで魔法使いみたい。


「ふふふ」

「ん?」


鼻の下に人差し指を当て、笑いを堪える仕草をする壱目さん。

可愛らしい仕草にこっちまで笑顔になる。


「堀川さん?」

「なんですか?」


棚の中から何やら取り出してたかと思えば、鏡を私の目の前で見せつけてきた。

そこに映る自分を見て咄嗟に顔をかくした。

ティッシュをカバンから取り出そうとするよりも先に、壱目さんがおしぼりを差し出してくれた。

照れつつも有り難くそのおしぼりを手に取る。

こんな大の大人がはしゃいで口の周りを泡のクリームまみれにするなんて、壱目さんでもこんな私引くよね……


「そんなに喜んでいただけると私も作りがいがあります」

「お恥ずかしい所お見せしました……」

「とんでもない。その笑顔が、私の元気に繋がります」


笑って見せた壱目さんは、嘘をついていない。

その表情にほっとしつつ、もう一口飲んだ。



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