君の本当をこの瞳で見つめて。
そんな私の手を、壱目さんはそっと掴むと手の平にブローチを置いた。
少し冷たい壱目さんの手なのに、なぜか私の手の温度はどんどんと上がっていく。
ブローチと壱目さんを交互に見ては、どうしたらいいのか考えるけど、何一つ思いつかない。
「貴女は素敵な方です。明日の夜はその笑顔の花を……たくさん咲かせて来てくださいね」
「で、でも……」
「大丈夫、貴女は綺麗です。自信を持ってください。私が保証しますから」
そう言われてドクンと鼓動が跳ねる。
優しい温もりがそっと私を包み込むけど、どこか切なくなるようなそんな気分に陥る。
そっと手を離して、小さく笑う壱目さんにきゅっと下唇を噛み締める。
振り絞って出したありがとうの言葉は、店内を軽やかに奏でる音楽に流されていった。
そっと受け取ったブローチを見て、鞄の内ポケットに仕舞う。
無くしちゃ絶対ダメだからね、と自分に強く念を入れながら。