君の本当をこの瞳で見つめて。
鏡の前で小さく回り、おかしな所はないか確認する。
まだ会いに行くわけじゃないのに、ドキドキと胸が高鳴る。
でもそんな気持ちもチラリとブローチを見ると一変し、苦しくなる。
なんでこんな気持ちになってしまうのか、昨日の夜は布団の中でずっと考えた。
でも考えれば考えるほど絡み合った糸のように、なかなか解けてくれることはなくて、むしろ逆に分からなくなる一方だった。
「いつも通りに返せるかな……」
あんなよそよそしい態度を取った挙句、店を飛びてて来てしまった。
それなのにノコノコと現れて、普通に返して美味しいデザートに飲み物を堪能して……?
そんなこと出来るわけない。
まだ知り合って数日なのに、なんでこんなにも……ぎくしゃくしてしまうんだろう。
ため息を着いてベッドに座り込む。
今日はただ楽しめばいいのよ、あわよくば裕治くんと仲良くなれればいいけど。