君の本当をこの瞳で見つめて。


ぎこちない手でブローチを着ければ、胸元のアクセントになる。

まるで花が咲いているようなそんな気分だった。

ブローチを撫でるように触ると、壱目さんの言葉を思い出す。


『大丈夫、貴女は綺麗です。自信持ってください。私が保証しますから』


鏡に映る自分は確かにいつもより華やかで、女性らしい。

胸元で光るブローチが私に勇気をくれる。

壱目さんは、嘘をつかない。

なぜかそんな気がして、その言葉がやけに安心感を与えてくれた。

まだ知り合って間もないのに。

壱目さんの素顔は知らないけれど、壱目さんはちゃんと私を見てくれていた。

我慢も遠慮もしないで、本当の私をさらけ出してもあの人なら大丈夫なんだってそう思える。

――明日はブローチ返すついでに……今日の出来事を話して、そしてちゃんと謝ろう。

鞄を手に取りもう一度、鏡の前で確認する。

夜まで時間があるし、ネイルサロンでもうちょっとだけ背伸びして綺麗になろう。

夜までの時間の使い方を考えながら、そっと部屋を出た。




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