君の本当をこの瞳で見つめて。


どんどんと興味が湧いてくるこのお店に、入るか入らないかで悩んでいるとふわっと落ち着いたコーヒーの香りが扉の奥から漂う。

どうやらここは、お洒落なカフェみたい。

ぐーっとお腹の虫が暴れだす。

その音を聞いて一つくすりと笑い、思い切ってその扉を開けた。

お客の来店を知らせる鐘の音が、軽やかに店内を包む。

店内を見渡せば、かなり落ち着いた雰囲気なのに、どこか暖かい空気になぜかため息が漏れた。

明るすぎず暗すぎずの照明は、ガラス細工が特徴的なペンダントライトで優しい雰囲気を演出している。

レンガ調の壁に飾られた一枚の絵も、なかなかにアンティークを主張してる。

カウンター席が五席に、テブール席が二席とこじんまりとした店だけど、埃一つない手入れが行き届いていて、居心地は良さそうだ。

ピアノ曲のBGMがゆったりとした空気を作り、さっきまで感じていた好奇心でワクワクしていた心が、落ち着きを取り戻す。




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