君の本当をこの瞳で見つめて。
その温もりが優しくて、私はつい甘えて壱目さんの胸に顔を押し付けた。
背を撫でていた手が頭へ回る。
壱目さんの鼓動が聞こえてきて、赤ん坊が母親の胸に抱かれて、あやされているようなそんな感じだった。
涙を堪えることなく流し続けていると、冷たい手の感触が頬に触れた。
そっと目尻の涙を拭うと、優しく微笑みを向けた。
そんな壱目さんを見ていると、壱目さんがゆっくりと口を動かした。
「ようやく全て話してくれましたね」
どこか安心したようなでもどこか嬉しそうなそんな声。
そんな穏やかな声に涙が徐々に止まっていく。
「貴女の心は傷まみれで、どうにかもがこうと必死に戦っていた。それを私は知っていました」
「壱目……さん?」
「堀川さん。ここで少し気持ちを落ち着かせるために、一つおとぎ話をしましょうか」
「おとぎ……話……」
小さくその言葉を繰り返して呟くと、壱目さんは私の髪をそっと撫でた。
その撫でる感覚が心地よくて、そっとその声に耳を傾けた。