君の本当をこの瞳で見つめて。
どこか寂しそうな苦しそうな壱目さんに、私の胸までも締め付けられるような気がした。
おとぎ話なのに、どうしてこんなに胸がざわめくんだろう。
すると、壱目さんの腕も私の背中へと回ってきて、壊れ物にでも触れるかのように静かに抱きしめた。
「その者はその子を引き取り、自分の仕事を教え人間と関わらせ寂しさを感じないように、そしてたくさんの愛を注ぎました。最期まで、笑顔で人間達の背中を押し、その子を愛しました。そして今は空の星となり、この世界を照らしているのでした……」
「一人になってしまったその子は……?」
「――その子は人間との関わりを断ち切ることなく、ひっそりと一人静かに暮らしましたとさ」
なんて寂しい物語なんだろう。
その子は一人で、生き続けたのだろうか。
なんで、その子は捨てられてしまったの?
ハッキリとしない終わり方に、首を小さく首を傾げることしかできなかった。
そしてなぜこんな物語を私に話したのか、分からない。
でも一つだけ言えること。
「壱目さん、その子きっと今も幸せを探してるのかな。……私と同じように、寂しさと悲しみを紛らわせながら」
モヤモヤとする気持ちを言葉にした途端、壱目さんの腕がそっと離れたかと思うと、肩を掴まれて胸から剥がすように私を見た。