君の本当をこの瞳で見つめて。


切なそうなその雰囲気に、何か絶対あると確信を持った私はそっと口を開きかけたその時。

壱目さんの人差し指が口をそっと閉じさせたかと思えば、壱目さんが長い長い前髪を掻き分け――今まで晒すことのなかった顔を私に見せた。

スッと通った高い鼻に、一度見たらもう目を離すことのできない程綺麗な……




――紫色の瞳。





その瞳とバチリと目が合うと、壱目さんが優しく微笑んだ。


「これが、私の全てです。堀川さん」

「え……?」


唐突なその言葉に頭は追いついて来てくれない。

それでも壱目さんの目を見つめることだけは、やめられなくて。

あまりの美しさに私の心はもう、奪われていた。


「本来こちらの世界で言えば……そう、一つ目小僧を知っていますか?」

「あの妖怪の……?」



頭の中で描いた一つ目小僧のイメージは、絵本の中の妖怪でしかない。

一見普通の子に見えたら、まさかの妖怪だった!なんていう物語はよくあることで。

そんな頭の中のイメージと、壱目さんの話は何も繋がらない。





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