君の本当をこの瞳で見つめて。
難しい顔をして考えている私に、壱目さんはまた小さく笑った。
その笑顔に急にドキドキと胸が高鳴る。
冷静さを装っていようとするものの、その前に前髪を耳にかけた壱目さんの手がそっと頬に触れ、そんな余裕はどこにもなくなった。
「私の家系は……一つ目です。しかも不思議な瞳の力を持った。そう、心の……本音が見える力を。そんな家系に生まれた私の目は、人間とおなじく二つ」
紫のその瞳が微かに煌めいたかと思えば、瞼をそっと閉じた。
「私が生まれた時は皆、泣きわめいたそうですよ。災いをもたらす子が生まれたと。同じように叔父も私と同じように、二つ目だった。私は叔父に引き取られ、今までずっとここで暮らしてきました」
壱目さんが人間じゃないことよりも、私は“災い”という言葉に怒りと悲しみを覚えた。
「壱目さんが……災いなんて、こと、あるわけない!!」
ドキドキのあまりに言葉が途切れ途切れになるものの、思っていることを吐き出すと、壱目さんは目を開けて下唇を噛み締めた。
「災いなんてことありえない!だって、こうやって私の気持ち受け止めてくれて、落ち着く場所を作ってくれて、私、私……!!」
あなたに惹かれていた、なんて気づくの遅かったんだろうか。
私の気持ちは迷惑になってしまう?
でも、ここに来て私自分の傷が癒えるってそう思えた。
ありのままをさらけ出したって、あなたにだったら見せていいってそう思えた。
たくさん、あなたのこと知りたいって思ってた。
変わりたいから、ここから頑張ろうって思えたのは、壱目さん――あなたのお陰なんだよ。