君の本当をこの瞳で見つめて。


言いたいことは山ほどあるのに言葉を上手く吐き出せない。

こうやって私はたくさん失敗して、人を傷つけて自分の首を締めてきた。

でも今日だけは言いたい、本当の気持ちを。

あのね、壱目さん。

私、あなたのこと――





好き。





そう言う前に、唇に優しく温もりがそっと伝わる。

コーヒーの匂いじゃなくて、壱目さんの優しい陽だまりのような匂いが私の鼻をくすぐった。


「言わなくてもちゃんと伝わります。すみません、堀川さん。あなたの心が……あまりにも優しくて暖かくて――好きになってしまったようです」

「え……」

「こんな短い間で他の相手を好きになるなんて、ありえないと思ってました。でも、貴女がここに訪れた時から、胸がざわついたんです。一人になるとずっとずっと、貴女の事ばかり考えてしまうんです。おかしいですよね」


頬を撫でる壱目さんの手から、伝わる熱が私の頬を熱く赤く染めていく。

そんな私を見て見ぬふりをして、ずっと頬を優しく撫で続けた。




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