君の本当をこの瞳で見つめて。
そっと壱目さんの唇が離れると、目と目を合わせて二人して笑い合う。
心の奥底で滲んだ傷がゆっくりと消えていくように、心がゆっくりと軽くなっていく。
すると、あっと壱目さんが声を漏らした。
私の額に指先を当て、何か唱えるとこくりと小さく頷いた。
「これで貴女の心を縛っていた呪が消えました」
「呪って……確か初めて会った日もそんなこと言ってたよね?」
「はい。今まで貴女の心を縛っていた、つまり我慢させていたものです。貴女自身の力でそれが消えましたよ」
自分の胸に手を当てて、確かめてみるけれどそれは目に映る事はない。
でも、確かに自分の気持ちを素直に伝えて受け止めてもらえた。
ただそれだけで、今の私には充分だ。
少しずつでいい、強くなればいいんだ。
背中を押して、時には支えてくれるこの人がいる限り。