君の本当をこの瞳で見つめて。
こんなにも優しくて、心地いい気持ちは初めてで、この幸せを逃がしたくない。
私、ちゃんと大人にならなきゃいけない。
変わる……だから私をちゃんと見ていて。
「雪帆」
呼ばれて上を見上げれば、額にキスをされる。
はっと自分の大胆さに恥ずかしさが、遅めにやってきて離れようとするものの、壱目さんは私を逃がすものかと、抱きしめた。
「では、雪帆にも私のことは壱目ではなくて名前で呼んでもらいます」
「壱目さんの名前……?」
そう言えば自己紹介し合って、壱目というものは名前は名字なのかどうなのかハッキリしてなかった。
ドキドキする心を抑えていると、少し意地悪そうな笑みを向ける。
「壱目 紫輝(シキ)。私は……僕の名前は紫に輝くって書いて紫輝」
「紫輝……その瞳と一緒だね」
「だから、雪帆も僕のこと紫輝って呼んでください」
おあいこの条件だけど、いざ言うとなるとなかなかに恥ずかしさと緊張が訪れる。
口をパクパクさせて言おうとするけれど、なかなかその声は出てこない。