君の本当をこの瞳で見つめて。
急に自分を攻めるような言葉が頭の中に浮かび上がる。
泣きたくなるようなそんな感情にもう一口、コーヒーを流し込んでその感情を押し込んだ。
「お口に合ってこちらも嬉しいです。そして、あなたの気持ち、しかと受け取りました」
そう言われて、じわっと心の奥底の傷が滲む。
私ちゃんと伝えることができた。
でも、それは今じゃなくてあの時出来ていれば――
「お客さん、暗い表情してどうかなさいました?」
「あ、いや……別に。何でもないです」
作り笑いを浮かべて誤魔化しては見るけれど、見透かされそうな目……じゃくて、視線を感じる。
ずっと気になるオーナーさんのこの前髪は一体どうして、こんな事になっているんだろう。
「なるほど。打ち消しの呪って所ですかね」
「え?」
打ち消しの……呪?
言っている意味がよく分からなくて聞き返すも、オーナーさんは顎に手を添えて、深く考え込んでいた。
やっぱりどこか変わっている方なのかなあ。