君の本当をこの瞳で見つめて。


ティラミスを一口頬張ると、これまた絶品。

苦味と甘さの絶妙なバランスが、口いっぱいに広がる。

最後に口に残るあの重たさもなく、綿菓子を食べているかのように解けて消えていく。

ここまで美味しいというのに、なんでお客さんこんなにいないんだろう。

そんな疑問が生まれて、周りをチラチラと見渡した。

確かに活気がない町とは言え、こんなに素敵な喫茶店があるというのに来ない方がおかしい。

学生が来ても、充分に楽しめそうな場所なのに。

……そっか、値段が高いんだ。

行き着いた答えになんとなく一人で納得する。

お財布がすっからかんになることはないけど、懐痛むのはちょっと苦しいと言えば苦しい。

でも、せっかく巡り会えた場所なんだから、お金のことは気にせず堪能するべきだ。


「お値段のことはお気になさらず、お代わりたくさんしていってくださいね」

「いやいや!そんな、悪いですよ!」


半分になったコーヒーカップにコーヒーを注ごうとする、オーナーさんの手をそっと止める。





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