短編的なものたち
「三浦先輩!」
(うわ)
「あ、沙紀ちゃん。どうしたの?」
なんで、学校では会わないくせに、少し離れた駅前の本屋で会うんだ。
「神崎先輩と、待ち合わせだったんですけど。連絡来なくて。」
(そういう情報は、いらないんだけど)
「そっかー、なにしてんだかね。」
「きっと、寝坊なんでしょうけど。」
と、呟く横顔は少し寂しそう。
(すっぽかされればいいのに)
今日の私は少し、おかしい。
きっと、油断してたから。
もう完全に戦闘態勢はオフにしていたから。
「沙紀!」
前から、あわてた姿の翔ちゃんがやってきた。
「神崎先輩!」
”ごめん、寝坊した。”そういう彼の声は全然知らない優しい声で。
もうホントに駄目なんだと、悟った。