Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
__瀬口 渚side__


聖風君から一条さんを迎え行って来いと言われた為、そちらに向かった。
廊下がちょっと騒がしい。
何かあったのだろうか?

1-Bの教室のプレートが見える位置まで来たが、全く前に進まない。
なぜなら人が溢れかえっているからだ。

流石に可笑しいと思って傍にいた生徒に話しかける。

 「あの、何かあったの?」

 「っ瀬口様!おっ、おはようございます!」

 「ごめんね。驚かせちゃったよね」

「いえ、そんなことないです!むしろ嬉しいです!」

この子の声が大きかったのか周りにいた大半が振り向く。

それから次第に道が開けていく。

…自分の目で見た方が早いか

教室の入り口までくれば、

 「なっ!生意気なのよ!!」

そう、怒鳴り声が聞こえビクつく。

何事かと思い女子に囲まれている中心人物に目を向けた。

人の隙間から綺麗な黒髪が見える。
あれは一条さんだ。

彼女を囲んでいるのは2、3年生のようだ。

これはただ事じゃないと思い止めようにも、
彼女らの怒鳴り声でかき消される。

止めなくちゃと思うが足が言うことを聞かない。
彼女たちを引きはがさなくちゃと思うものの、足が言うことを聞いてくれない。

正直、荒事は苦手だ。

そんなんじゃいけないと分かっていても、そう簡単には克服できない。

出来たら苦労なんてしていない…
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