Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
「たかが自分の勝手な都合で振り回して
 貴方は何がしたいんですか?自分1人じゃ何もできないくせに」

聴こえてきた声に僕は顔を上げた。
顔を上げた先には凛として胸を張って言葉を放つ一条さんの姿。

相手の目をしっかり見て自分の意見をぶつける彼女。
その姿がかっこよくて、自然と目が離せなくなっていた。

しかし、そんな中パンッと乾いた音がした。

僕の目に映ったのは一条さんが叩かれたという事実。

綺麗な黒髪がやけにゆっくり靡いて見えた。

僕はどうしていいかわからなくてただ見ているだけ…
本当は止めなきゃと思っているのに動かない身体。

本当に嫌だ…
なんでいつも僕はこうなんだ…
肝心な時は何もできない。

目の前にあった大勢の女子生徒が次第に消える。
僕の姿に気づいた生徒たちは、慌てて弁解するも僕の耳には届かない。

彼女の瞳はとても冷たく何も映していなかったのだ。
それがあまりにも儚くて僕は怖くなった。
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