Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
「さて、これで皆さん揃いましたね。では仕事を始めましょうか」
副会長はそう言いながら新生徒会メンバーに目を向ける。
『遊んでる暇などありませんよ』と副会長は双子に言いながら睨んだ。
双子は小さく震えあがり私の後ろへと隠してしまう。
…私を盾にしないでいただきたい
悪いことしてないのに怒られてるみたいになるのは腑に落ちないわ。
「…では、この生徒会での初仕事に移ります」
「春は特に行事もない、書類の整理や、プリント作成が主な仕事だ」
副会長に代わり、今度は会長が話し始めた。
「「じゃあ、やることあんまりないんだったら毎回来なくてもいいの?」」
双子が同じタイミングで首を傾げる。
声もバッチリ揃っていて気持ち良いくらいだ。
「生徒会は自由に生徒会室に出入りできし、必要な時には集合をかける。それ以外は自由にしてくれ」
「ですが、一条さんは毎日来てくださいね。補佐は仕事が多いですから」
…やっぱりそうですよね
副会長の鋭い視線が私に向けられる。
「…分かりました。では、午前の授業は受け、お昼頃から生徒会室に来ます」
誰に言われても私は結局、生徒会室にこもる気なんてさらさらない。
周りの人たちもそれを許さないだろう。
「今日だけは説明もあるので午前中は生徒会の仕事をお願いしますね」
「…わかりました」
初回はしょうがないか…
やることをさっさと終わらせて教室に行こう。
会長は私を見つめるなり口を開いた。
「どうしてお前はそこまで嫌う」
…嫌う?
周りを避けているのがそう見えているってことか…
傷つけないように着かず離れずの位置にいるべきだ。